チイサナコイノモノガタリ
『小さな恋の物語』
-出会い―
少年は、大好きな中学校を卒業し、いよいよ高校生活が始まります。
高校までは自転車通学で、少年は片道30分の道のりをお気に入りの自転車で颯爽と走っていきます。
ある日、少年はいつもの通学路を自転車で颯爽と走っていると、向かい側から暖かく心地よい春風が、少女を運んできてくれました。
少女は自転車で、少年とは反対方向へと走り去っていきました。
少年は、少女とすれ違った瞬間、一瞬にしてドキドキが止まらなくなり、心の奥が「キュー」と音を立てて、暖かいような、切ないような初めて覚えた感覚になりました。
少年は自分でも「こんな気持ちになるんだ」と驚きました。
その日から少年は、少女のことが気になって仕方ありません。心の奥に覚えた初めての感覚もずっと続いています。
少年は次の日も、また次の日も、毎日同じ時間に家を出て、少女とすれ違い、心の奥の感覚が何なのか、確かめようとしました。
しかし、心の奥の感覚の正体は分かりません。それどころか、その感覚は日に日に切なくなるばかり。
少年はたまらなくなり、友達に相談しました。
するとその友達は言いました。「それは恋って言うんだよ」
少年はその時初めて、自分があの少女に恋をしていることを知りました。
つづく。
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