せつやく

『節約』

 おじさんは笑顔で、話し始めた。

 おじさんは口ひげをはやし、流暢な英語で観客の笑いを引き出しながら話している。

 話の内容は、ペーパータオルについてだ。

 ペーパータオルは1回で1人平均2~3枚使うそうだ。

 そのペーパータオルを1回、1人1枚に減らすことによって年間数億円の節約に繋がるというのだ。

 おじさんは、そのペーパータオルを1枚で済ます画期的な方法を見つけた、と話している。

 その画期的な方法とは、手を洗い、そのぬれた手をたくさん振る、といういかにも原始的かつ画期的な方法だ。

 おじさんは言う。手を洗い、ぬれた手を13回振り、ペーパータオルを半分に畳んで使えば1枚で済むのだと。

 なぜに13回なのか?おじさんはさらに流暢に話しだす。おじさんはノリにノッているのだ。

 13回の理由は、聖書に出てくる天使の人数だそうだ。会場は更に笑いが起こり、割れんばかりの拍手だ。

 おじさんはさらに手を洗い、13回振り、ペーパータオルで拭いて見せた。しかも6回も。

 おじさんの笑顔は止まらない。なにせノリにノッていて、気分は最高潮なのだ。

 しかしおじさんよ、あなたは1回で済むペーパータオルを合計6回も無駄に使ったのだ。それを認識しているのか?

 きっとしてはいないだろう。なにせノリにノッているのだから。

 そんな画期的な方法を無駄にしてしまうような、何とも複雑な気持ちで無料動画を楽しむ私は今日、その画期的な方法を試してみた。

 もちろんペーパータオルは1枚で済むのだが、、、

 おじさんよ、手を思いっきり13回も振りまくった水滴が周りに吹き飛び、その水滴を吸い取るためにペーパータオルが必要なのではないか?

 水周りは綺麗に使わねば、と思わされる出来事だったのだ。私はノリにノれなかったのだ。

 「だっちゅ~の!」

aiair

~aiair~   ”あいえあ”  ”I air”   -まるで”空気”のように、いつの間にか”すぐ近く”に-

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